Repro株式会社を卒業しました

Facebookのニュースフィードに書いてすっかり満足してしまっていましたが、こちらにも。2019年12月をもってRepro株式会社を卒業しました。年始よりグローバル・ブレイン株式会社というベンチャーキャピタルでTech Talentとして働いております。

 

Repro株式会社には、2017年2月に入社しました。

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さらにその前フリーランスとして携わっていた時期も含めると3年半お世話になったことになります。これは私の社会人歴の上では最長でその分、感慨も大きいものです。というか、社会人生活も気づけば7年目が終わろうとしているのですね。1年1年は濃密でありつつも、振り返ってみるともうそんなに経つかと、歳も取るものですね。

 

Repro株式会社にいて良かったこととしては、なんといってもWeb業界の中でも技術的に真摯な環境で働けたことです。多くの会社でテクノロジー、エンジニアリングが必要なことはもはや説明の必要もないとは思いますが、その上でどこまで技術をつきつめていくのか、つきつめられるのかは会社によって様々です。もちろん技術は大事だし、優秀なWebエンジニアに来て欲しいよね、「とはいえ」今は実装を最優先にしよう、と合理的ではあるが技術者としてはぶっちゃけモニョるというのも良くあることではないでしょうか。

 

Reproの場合、月間1億ユーザー以上もの大規模データを扱うようなシステム(1年ほど前のデータですが、参考まで)を扱っているため、技術に甘んじると死ぬという特性があります。そのため、品質に振るパラメータの度合いは小さくありません。これはWeb技術者の働く環境としては理想に近いものといえるでしょう。

 

実際私もReproでの業務を通じて、入社前より2段も3段も上の「普通」を習得できたと思っています。今だから書きますが、2016年当初は私自身、技術力が足りなくてクビになるかどうかの瀬戸際を彷徨っていました。いやぁ、辛かったwでも、今となっては自分にとって良い経験だったな、と思っています。不思議なものです。

 

有り体な表現にはなりますが、一緒に働くメンバーが優秀なのも特徴です。対外的に目立つのはCTOの @joker1007 さんをはじめとする精力的に発信をしている人ですが、例え対外的な(SNS上の)発信がなくとも一緒に働くと素晴らしい人がたくさんいます。技術に真摯、とは書きましたが、それでありながらも職人気質すぎずビジネスサイド含め適切にコミュニケーションを取って仕事を進められるメンバーが多く、彼ら彼女らとは一緒に働きやすかったですし、勉強になることも多かったです。

 

現在、エンジニアの数は現在50人程度ですが、私がいうのもあれですが開発者の離職率がとても低く(2019年で私含め2,3人程度)、そのこともまたReproが良い環境であることの証左かもしれません。興味のある方はWantedlyなどから応募していただけると幸いです。

 

私がいたのは20人から250人規模までの、個人戦からチーム戦に変わり、制度の策定や管理の概念の導入が行われた時期でした。これからはグローバル展開やスケールに耐えうる強い組織の運用、そして会社としてのイグジット戦略に向けた動きなど、制度が整った環境が良い人、カオスな環境が好きな人、双方におすすめできる環境になっています。ぜひよろしくお願いします。

 


 

と、ここまで書いて、じゃあなぜ辞めたのかと自分でも不思議になるのですが、理由としては自分が戦いたいフィールド、キャリア観の変化、というのが大きいでしょう。私はReproではSoftware Engineerとして簡単なbugfixに始まり、一機能の開発、業務時間外アラート対応、チームリーダー、と一通りのことを任せてもらいました。それらがある程度の再現性があるレベルまでできるようになった時、会社に次にチャレンジしたいと提案したのがEngineering Managerでした。

 

当時、私は7人くらいのチームの取りまとめを任せてもらっていました。しかしながら職責上はSoftware Engineer、業務成果の判断基準は技術的なアウトプットでした。今となっては歪と分かりますが、当時はそんな状況でした。ちょうど、そのころ書かれた記事にそんなモヤモヤが現れていると思います。

それだったら、マネージャ業務を職責としてEngineering Managerをやらせて欲しいと、そう訴えたんですね。下記のスライドでは、Engineering Managerという肩書きにしようと書いています。

 

 

が、当時の開発者組織の考え方として、基本的にはマネージャを置かない方針だったのです *1

それで、代替として提案されたのがビジネスサイドと開発サイドの橋渡しを行う、ソリューションアーキテクトという職種の立ち上げでした。

自分自身が思っていた方向性とは異なりましたが、それまでの開発経験やRepro歴が生きる場所ということでまずはやってみることにしました*2。ソリューションアーキテクトは社内的にも目新しい役割ということで当初は仕事をする上で上手くいかないことも多かったのですが、年末頃までには周知も広がりましたし、また一定のフローを整えられました。さらには従来なかった橋渡し業務を行うことで割とビジネス職の多いad:tech toursという場でのモデレータ業にもつながりました。

実質的には1年弱くらいの期間でしたが、ソリューションアーキテクト業務を通じて気づいたのは開発者としてのキャリアとして、システム開発のみならずお客様・ビジネス職との橋渡しの役割に奥行きがあるということでした。

そんな折、Vue.js日本ユーザーグループのご縁で@kiaking85 さんにベンチャーキャピタルでの開発推進のポジションにお誘いいただきました。かねてよりベンチャーキャピタルという事業に興味はありました。まさか働くチャンスがあるとは思っていませんでしたが。

Reproはなんだかんだで開発者に理解のある会社です。反面ベンチャーキャピタルにおいては、昨今のWeb系企業でのエンジニア観とまた違った文化があります。

そんなどちらも魅力が大きい二者の選択肢の中で、最終的にはグローバル・ブレインでチャレンジすることに決めました。事業ドメインへの興味もそうですし、現実的なところでは待遇や条件といった面もありますが、何よりもエンジニアリングから遠い世界でどれだけ自分の力を発揮できるのか、というところに好奇心が湧いたことが大きな理由です。まあ、実際には勢いな部分も少なくありません。

ともあれ、遠い将来に振り返った際に後悔することのないようやっていけたらと思っています。
皆様方には引き続き、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。

  • ^*1 …… ちなみに2019年春にLeSS(大規模スクラム)というフレームワークが導入され、同じくらいの時期にEM職も正式なポジションとして設置されていますので、今は本文内の状況は解消されています。念のため。
  • ^*2 …… 私もパーソナリティを務めるきのこるエフエム ep. 11では、マネジメントの対象が人から業務フローに変わった、と表現していますね。