この記事は、技術イベント・カンファレンス運営のノウハウ(2枚目) Advent Calendar 2025 の18日目のエントリーです。お楽しみください!
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とれびーです。スタートアップとコミュニティが好きです。
イベントやカンファレンス運営周りでいうと、最近は渋谷アジャイルというスタートアップ・アジャイル・組織・人方面のコミュニティや、技術系とは少し毛色が違いますがコミックマーケット準備会でスタッフ*1をやっています。
不定期に他のカンファレンスを手伝ったり、ふらっとコミュニティに顔を出すこともあります。フットワークは軽い方みたいです。
想定読者
この記事は定期的なイベント運営に興味があり、やってみることに不安を感じている方に向けて執筆しています。
イベント運営はコミュニティ活動の一環
そもそもイベント・カンファレンスを運営したり参加する意義とはどこにあるのでしょうか?個人的には 「コミュニティの具体的な場を提供すること」だと考えています。
新たな知識や知見を得たり学習したりする目的であれば、イベント・カンファレンス運営の他にもWebや読書、研修などの手段がたくさんある中で、あえてこの選択肢をとる私なりの理由がここにあります。
ですので、以降の内容には「コミュニティ」の存在が強く意識されるいることを念頭に置いていただけるとありがたいです。ちなみに広義にコミュニティというと家族や職場といった自然に選択の余地なく所属しているものも含みますが、ここの文脈では特定のテーマ(や、そこにいる人々)に関心を持つ人たちが自発的に集うことによって、自覚無自覚関係なく形成している繋がりを指すことにします。
技術イベント・カンファレンスの運営ノウハウ
コミュニティの具体的な場をするための手段であるイベント・カンファレンス運営ですが、一言で運営ノウハウといっても最適なものは正直、個々のケースによって変わってくるんじゃないかなと考えています。
とはいえこういった結びにしても記事として面白くないと思います*2ので、今私自身がもっともマインドシェアを割いているコミュニティの一つである「渋谷アジャイル」を例にとって、日常系イベント の運営を行う上で意識していることをご紹介します。
日常系イベントとは
唐突に言及した「日常系イベント」ですが、もちろん私の造語ですw
技術イベント・カンファレンスは世の中に数多ありますが、規模・頻度の2軸で整理すると、ある程度のグルーピングを行うことができます。
- 規模 …… どのくらいの人数を集客するのか?
- 超小規模 (〜10人)
- 小規模 (〜2, 30人)
- 中規模 (〜5, 60人)
- それ以上 (100人規模、数百人規模) *3
- 頻度 …… どのくらいの間隔で開催するか?
- 定期
- 多い (毎週、隔週)
- 中程度 (毎月、隔月)
- 少ない (年一回)
- 不定期
上記の軸に「渋谷アジャイル」を当てはめると、次のポジショニングになります。
- 規模: 小〜中規模 (毎回2〜40人程度)
- 頻度: 毎月 (月一開催)
規模が大きいわけでないが、定期的・コンスタントに開催している。そんな、渋谷アジャイルのようなものを便宜上、「日常系イベント」と呼ぶことにしています。
日常系イベントの特徴
そんな日常系イベントですが、以下のような特徴を持っています。
- 平日の夜(終業後)に有志で集まる。イベント参加者の半数は常連だが、初参加者もそれなりにいる
- 参加者同士は仕事上のステークホルダーでないことが大半 (むしろコミュニティから仕事の話に発展することの方が多い)
- 共通の関心ごとを持って集まっており、互いにフレンドリー
- 家庭でも職場でもないからこそフラットな意見が得られやすい
- そんな環境なので、参加者と関係性を作りやすい
- 毎回のイベントフォーマットが決まっている
- イベント全体の進行がゆるい、時間通りに始まることの方がまれ
- でもそれで誰かが咎めるわけでもない
- イベント本編だけでなく懇親会もセットというか、そちらが本番
- イベントがコミュニティの文化を象徴している
皆様は、どう感じるでしょうか?私のイベントの理想像として、家庭でもなく職場でもないサードプレイスとしての機能を果たしていて、それでいて時間的・肉体的・精神的なコストをかけずともなんとなくエコシステムとして回っている、というのがあります。
日常系イベントはこの両取りができると思っていて、私個人はそんな状態がちょうど心地が良いなぁと感じています。
イベント運営Tips5選 - 頑張らないために頑張る
さて、もしここまでで日常系イベントに魅力を感じていただけたら次は自分でもやってみたい、となるのかなと思います。
ここからが本題ですが、私がイベントを運営する上で私が意識していることをいくつかご紹介します。
1. 複数人で運営する
運営を仲間内で担おうというのはカンファレンス・イベントの運営でよく言われることですが、日常系イベントでも例外ではありません。
意図としては個々人で事情があり動けない時のバックアップ、という側面もありますが、個人的には自分にない視点や感じ方を補っていただけるというのが大きいです。渋谷アジャイルの例でいうと、他のオーガナイザーにイベント中の室温管理だったり、運営自身も楽をすべきだという考え方、継続することが正義であるとの金言をいただいており、これは自分にない視点・観点だなぁと思ったことがあります。
経験上、コミュニティを立ち上げる前に自分の他に2名ほどオーガナイザー側に入っていただけると、視野が広がりやすいですし推進力(≒ 良い意味でのプレッシャー)もつきやすいと感じています。
2. コミュニティのミッションを明確にする
何かイベントをやろうとした時、個人的には様々なあれこれは一旦、気にせずまずはやってみる、というスタンスで良いと思います*4が、定期的にやることを見据えていたり、ある程度の回数を重ねてきたら、運営者、ないしは発起人としての考えを宣言することをお勧めします。
コミュニティは生き物です。ミッションはその中で脳、価値基準の部分にあたるものです。ミッションを明確にしても、コミュニティの文化がその通りになるとは限りませんが、ミッションがあることで運営しているイベントに一つの指針を持たせられるのは確かです。
そして、イベントを運営する中で参加者からの要望や、何かしらの意見や価値観の衝突があった際にこのミッションが生きてくるのです。もし毎回、個別に検討・判断をしていたらたとえ結論が同じになったとしても、コストがかかる分、運営が疲弊してしまいます。日々の運営コストを下げる点でミッションは提示できると良いのかなと考えています。渋谷アジャイルでも、立ち上げ当初に考えをスライド化した覚えがあります*5。
treby.hatenablog.com
もちろん、ミッションが「義務」や「押し付けるもの」になっては本末転倒なので、1,2年くらいの一定のスパンで、ふりかえり、ミッション自体を再定義するのも重要ですね*6。
3. 雑でも何か残しておく
あらゆる人にとって、日常系イベントが人生の最優先事項になることは稀だと思われます。仕事だってありますし、家庭もあります。可処分時間に目を向けてもさまざま趣味もあるでしょう。
それはオーガナイザーにとっても同様で、日常系イベントはそもそもがマインドシェアを期待できるものではないのです。
だからこそ、イベント参加やコミュニティに触れて感じたことや些細なものでもアウトプットしておくと、運営に向き合えるタイミングに思い出しの役に立ちます。
渋谷アジャイルでは、コミュニケーションにDiscordを利用していますが、その中の企画チャンネルに思いつきや気になったこと、アイデアを乱雑に残すことがあります*7。
4. コミュニティでイベントを作り上げる (フィードバックをもらう)
日常系イベントを開催するのはオーガナイザーなので、オーガナイザーがいないとイベントは始まらないわけですが、コミュニティという目線で見ると他の参加者もオーガナイザーもあくまで一個人です。
そこで私はコミュニティの一員として、オーガナイザーの役割でイベントを開催している、というスタンスをとっています。そうなると当然、参加者の体験や感情に関心が向いてきます。
こういった意見を回収するために渋谷アジャイルでは毎回、参加者に対してフィードバックを募っています。フィードバックを100%反映できるというわけではないのですが、コミュニティの具体的な場として、イベントを継続開催していく上でこれらの声は大変参考になるものです。
もし、オーガナイザーとしてイベントやコミュニティを管理する・しなければならないもの、と捉えていると、オーガナイザー自身のイベント・コミュニティ理想像と実際にギャップが生まれた際に、なんとかしないとという感情が生まれます。イベントを継続開催する上において、その時生まれる感情やそこからのエネルギーはヘルシーでないのかな、と個人的には考えています。
5. 運営を楽しむ
と、ここまで徒然なるままに、普段意識していそうなことのアウトプットを試みましたが、イベント運営において大事なことは結局のところ、運営を楽しむ、この一言に尽きる気がします。
仕事や家庭といった、ある側面では個人にデフォルトで紐づいているものと違って、コミュニティや技術イベント・カンファレンスを支えているものの大部分は内発的なエネルギーです。
やりたければやればいいし、疲れたのなら休んだり、やめたり、引き継いだりすればいいんだと思います。私も過去にはShinjuku.rbというRubyコミュニティのオーガナイザーを担っていたことがありましたが、最近、運営を引き継いだところです。
treby.hatenablog.com
最後は、気軽に自分のフィーリングでコミュニティと付き合うことが大切なんじゃないかなと思います。
まとめ
本記事では、技術系イベント・カンファレンスの中でも日常系イベントに焦点を当て、その特徴や運営ノウハウをご紹介しました。
この記事の内容が一部でも、イベント運営をしていたり、したいと思っている方のご参考になると幸いです。