言葉が指すスコープの広がりが面白い『習慣の力』

www.amazon.co.jp

『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』や『ぼくたちは、習慣でできている』など習慣に関する本から参照されている、習慣の本の中の習慣の本。

treby.hatenablog.com

treby.hatenablog.com

個人的には「習慣」という字面からは特定個人が恒常的に行っている所作のことを連想していたのだが、この作品で取り上げる作品は個人はもちろん、コミュニティや組織、さらには社会にまで習慣の法則を当てはめているのが非常に興味深い。

ねり歯磨きを使う文化のなかった1900年代初頭のアメリカでいかに商品を定着させたか、P&Gがファブリーズをいかにしてヒット商品に昇華したのか。無意識の習慣にアプローチしたスターバックスの新人研修制度や米小売り企業のマーケティング戦略。さらには、医療ミスが多発する病院や地下鉄火災を「組織の習慣」という切り口から考察する等々、パッと思い出すだけでも幅広く取り上げている。

これまで私はそれなりに習慣や社会心理学に関する作品に触れてきた、と思う。本書はそのすべてで取り扱っているテーマを網羅するだけでなく、なんなら失敗学やマーケティング、マネジメントなど、一見これらと関係ないと認識していた作品にも関連性があることの示唆出しをしてくれる。

treby.hatenablog.com

lineblog.me

treby.hatenablog.com

文献から得られた知識を自分のものにするには、ただインプットするだけでなく他のところで聞いた情報と情報をつなぎ合わせてネットワークを作ると良いというが、まさにこの連想がたくさん起こって気持ちの良い一本だった。

scrapbox.io

f:id:treby006:20210112091326p:plain
『イシューからはじめよ』より